医療裁判費用(2)・安い弁護士

【医療裁判・費用(2)・安い弁護士】

 かように医療裁判は金がかかる。
 しかし、裁判には、いつもいつも金がかかるのかといえば、そういうわけではない。動かせない金額は、裁判所に払う証拠保全や印紙代、カルテや文献の複写実費、交通費くらいなもんである。
 証拠保全は、弁護士を通さずに、裁判所と相談してやる人もいる。印紙代でも、裁判の意義は金ではないと割り切った人は、請求金額を少額にするという手がある。簡易裁判所(賠償請求140万円まで)でやる人すらいる。

 弁護士だって、人間である。話次第。いや。熱意次第では、いくらにでもなる。ディスカウント自由の自営業なのだ。
 受諾金は精一杯の20万円。成功報酬だけちょいと大目に20%。協力医師には、お中元程度。そんなとこで、どうです? それでゆける弁護士がきっといる。ただでも闘う医者がきっといる。滅多にいないだろうが、いないとは言い切れない。
 だけど、金を持っている人がケチると、弁護士も渋る。それが道理。

 まずは、当初の相談を、どうするか?
 弁護士は、相談料30分5千円とか偉そうなこと言っているが、僕なども「ねえ、ねえ。ちょっとぉ。これ、どう思いますぅ?」って、数時間ただでおしゃべりしている。弁護士も、しようがないか、と適当に相手してくれる。あんまり続けると嫌がられるから、自分で調べられることは聞かないし、できるだけ短時間で済ます。謝礼を払うべき内容だと考えたとき、4千円くらいの粗品をあとで持って行ったこともある。

 払える人は、払うのが当然。払えない人は、払う必要なんかない。そうあって欲しいと思う。そのかわり、できるだけ手伝うように心がける。丸投げは厳禁。そして、払えるときには、しっかり払う。

 かといって、誰にでも弁護士の知り合いがいるわけでもない。
 だから、そういう関係を持っている人に相談する。 それは、議員、労組、市民活動家、大手マスコミの記者、地元の著名な進学高校を卒業した人(同級生のお友達に医者や弁護士がいる)、大企業の幹部(企業の顧問弁護士がいる)などである。東大卒の人も同窓に弁護士がいる。そんな人が親しい関係にいると助かる。

 ともかく、市などの開催する無料法律相談なら、何の遠慮をすることもなくタダである。実は、彼らは、そこで「営業」しているのである。そこで金になりそうな事件を拾っているのである。これが一番の格安ルートです。

 一般的に安くて熱心という点でお勧めできるのが、自由法曹団である。

 自由法曹団は全国各都道府県にある。これは、日本共産党の弁護士集団だが、自民党員や右翼の人が相談してもかまわない。
 共産党員の大工が、自民党員の家を建てられないわけではない。共産党員のピッチャーが、公明党員のキャッチャーにボールが投げられないわけではない。弁護士は「職人」なのである。 職人は、やりがいのある仕事に興味を持つ。能力を発揮できるいい仕事がしたい。お客に喜んでもらえる仕事がしたいのである。

 但し、この自由法曹団は、労働事件の専門家が多い。ああ、違うや。と思わないほうが良い。
 ある程度の年数を経ている人なら、たいてい医療事件をやったことがあるし、裁判の基本は同じだ。原告の言いたいことを、いかに一生懸命に訴えてくれるかが、大きなポイントなのである。
 労働事件で丁寧な弁論ができる人は、医療事件でも驚くほど丁寧な弁論を行う。職人だからである。