転載/『大震災時の薬物療法の注意点』

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No142(2011.03.20号)
『大震災時の薬物療法の注意点』

みなさま
速報No142大震災時の薬物療法の注意点を、緊急でまとめてみましたので、ご連絡申し上げます。
http://npojip.org/sokuho/110320.html
を、ご参照ください。
どちらに転送いただいても結構です。

被災地におられるかた、被災地の状況ををご存じのかた、こんな場合はどうするのだ、といったご質問、ご意見をぜひ、お寄せください。

浜 六郎
特定非営利活動法人「医薬ビジランスセンター」(薬のチェック)
住所:〒543-0002 大阪市天王寺区上汐3-2-17、コモド上汐ビル902
TEL 06-6771-6345 Fax 06-6771-6347

「薬のチェックは命のチェック(2001年創刊)」http://npojip.org/

調査研究部門は「医薬ビジランス研究所」で行っています

     
【内容紹介】

全般的に
 継続を要する薬剤はあるとしても、急を要しない薬剤、中止可能な薬剤を知っておく必要があるでしょう。また、この時期には中止しないと危険な薬剤があります。薬剤が流されて、何日か服用できず離脱症状を起こす可能性のある薬剤(睡眠剤、安定剤、抗うつ剤ステロイド剤)、食糧不足のために薬剤を服用していなくても血中濃度が上昇しうる危険な薬剤もあります(抗精神病剤など)。さらには、急場にどうしても必要があって一時的に使用したとしても、安定剤や睡眠剤など依存に陥る可能性のある薬剤は、不要になればできる限り早く離脱を考える必要があります。一時中断後、再開に際して、特に注意を要する薬剤もあります(抗うつ剤、リファンピシン、甲状腺ホルモンなど)。これらの薬剤を区別しておくことが非常に重要と考えます。

コレステロール低下剤−中断してもかまわない、むしろ中止すべき
降圧剤−合併症がなければ中断しても大きな影響はないはず
解熱剤、かぜぐすり−飲まない方がよい
タミフルなど(抗インフルエンザウイルス剤)−必要ない
抗不安剤、睡眠剤−大量使用者が急激な中断は危険
抗けいれん剤や抗パーキンソン剤の中断も危険 早く再開を
抗不安剤、睡眠剤−依存症になりやすいので安易に開始しないで
SSRI抗うつ剤(特にパキシル)−中断は危険、再開時も要注意
神経遮断剤(抗精神病剤)−栄養不良で命にかかわる中毒症状の危険性あり 致死性不整脈悪性症候群・カタトニアなど
ステロイド剤−中断は危険! 離脱症状は吸入ステロイド剤でも起きる
インスリン−中断は危険 すぐに届けて インスリン・SU剤以外の糖尿病用薬剤は中断しても大丈夫
結核剤のリファンピシン−中断後再開時にはアナフィラキシーに要注意
甲状腺ホルモン剤−必須、ただし中断後再開時は少量から
骨粗しょう症骨粗鬆症)用薬剤、認知症用薬剤、肝臓病用剤、ビタミン剤、花粉症・アレルギー性鼻炎の薬剤、抗潰瘍剤、抗リウマチ剤、便秘用剤、他の必須の薬剤